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第9回全国納豆鑑評会

 平成16年2月13日(金)に名古屋市中区錦の名古屋国際ホテルで第9回「全国納豆鑑評会」が開催されました。

 全国納豆鑑評会は、全国納豆協同組合連合会(納豆連)に加盟する全国の納豆製造メーカーが1メーカー1商品、市販している自社の納豆を出品し、その中から本年度の納豆日本一を決める恒例の行事です。納豆の製造技術、および品質の向上を目的として行われます。

 第9回目となる今回の鑑評会は124メーカーの商品が出展されました。当日は多数のメディアが会場に訪れ、納豆に対する関心の高さがうかがわれました。

 栄えある最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞したのは、マルキン食品株式会社(熊本県)の「元気納豆山葵(わさび)」で、昨年に引続いて2回連続での最優秀賞受賞となります。
 次回、第10回全国納豆鑑評会は福島県で開催される予定です。
 以下、審査員の方々と実行委員長のコメントを付記します。

講評

全国納豆協同組合連合会 会長 / 高星進一

全国納豆協同組合連合会 会長/高星進一

 全体的なレベルは納豆連の掲げてきた「品質向上」という目標レベルに到達したと思われます。
 今後はこの全国納豆鑑評会に出品していないメーカーにも広く呼びかけ、出品を促して日本を代表する納豆の祭典にしてゆきたいと思っています。納豆連会員社の8割〜9割が出品するような鑑評会が理想です。

 日本の伝統食品である納豆も、今や国際化に対応できる必要性に迫られています。納豆の様々な健康効果が認知されるにつれて、世界から注目されるようになってくるでしょう。業界として鑑評会を通じ、納豆の品質を向上させること、そして日本の納豆が世界中で「おいしい」と思われるレベルにすることは、納豆が世界に受け入れられることにつながり、大変意味があることです。

鑑評会は今回で9回目ということもあり、製造や流通方法に工夫を凝らしたものが目立ちました。納豆は発酵食品なので、新しければ美味しいというものではありません。鑑評会の日にあわせて逆算し、室出ししたと思われるものや、一定の温度で会場まで運ばれたものなど、この日に最高の醗酵状態になるように細心の注意を払っているものはやはり美味しい。こうした意気込みが感じられる商品作りを納豆連としても推奨してゆきたいと考えます。

倉敷芸術科学大学産業科学技術学部教授 / 須見洋行

敷芸術科学大学産業科学技術学部教授/須見洋行

 これだけたくさんの納豆があっても、不思議なことに審査員の評価は自然と一致します。
  今年の出展商品は全体的に粒のそろっている大豆を使用したものが多く、見た目も良くなっているように感じました。全国納豆鑑評会も回を重ねており、過去の受賞商品を参考として、審査する側もされる側にも一定レベルの基準が出来てきたからでしょうか。
 出品商品には納豆らしいもの、すなわち醗酵が適切なタイミングのものが目立ちました。特に今年は例年より深い醗酵の納豆らしいものが多かったです。これは納豆の消費拡大と比例して、日本全国に納豆通が増えたことの表れではないでしょうか。
 関西ではまだまだ浅い醗酵の納豆が主流ですが、全体的に醗酵にこだわった関東以北の納豆が納豆通の間から広まってきているのではないでしょうか。

食文化研究所 オーナー / 永山久夫

食文化研究所 オーナー/永山久夫

 年を追うごとに出品商品のレベルが高くなってきており、大変驚いています。
 納豆の美味さは、素材の大豆と醗酵技術の2つの要素で決まります。即ち、納豆の美味さは食感や味の部分は大豆の選択で決まり、糸の引き具合や粘りは醗酵技術で決まるのです。

 旨味というのは醗酵の段階で如何に多くのアミノ酸を出すかが重要。食べて美味いというのは健康に良い証拠です。それはアミノ酸が豊富に含まれているということであって、鑑評会に出展されているものは、アミノ酸の量をピークの状態まで持ってきて、審査に臨んでいると思われます。今、世間ではアミノ酸がブームとなり、関連商品がヒットしているので、この点でもアミノ酸を豊富に含む納豆は注目されるべき食品だと考えます。
 今後もなるべく多くのメーカーに納豆鑑評会に参加してもらい、受賞してもらいたいです。そして、様々な地域に根付いて納豆の売り場を一層活性化する原動力になってもらいたいと思っています。

料理研究家 / 伊藤 華づ枝

料理研究家/伊藤 華づ枝

 本年度、初めて審査員として出場させていただきましたが、是非毎年参加したいです。
 各社の自慢の逸品というものは、それぞれこだわりが感じられ甲乙つけがたいものが多いです。豆の美味さそのものは、経験上いろいろとためしているからまだ理解できるのですが、今回の納豆の出展商品は芸術作品といっても過言では無いほど、レベルが高くて驚きました。

 私は、納豆とは毎日食べるものであると考えていますので、今回の審査に当たっては、糸引きや香りなど一部分が突出して素晴らしいものよりも、全体的にバランスが取れて安定したナチュラルなものを選びました。

第9回全国納豆鑑評会実行委員長:青年同友会 / 野呂 剛弘

青年同友会/野呂 剛弘

 本格的に鑑評会の準備を始めたのは9月頃で、約半年近い時間をかけてこの日のために準備をしてきました。

 本年は鑑評作業から集計作業までスムーズに行われているため、比較的時間に余裕がありました。それもPCの導入による集計が可能になったためで、今後もこのような技術や機械を積極的に導入してゆきたいと思います。会を重ねるごとに、たくさんのプレス関係者に集まっていただいておりますが、今回も非常に多数集まっていただき、大きな注目を浴びていると感じます。なるべく多くの人々に納豆の機能性と美味しさを伝えられれば幸いです。

 毎回、公平性と機密性には特に気を使っているので、今回の評価も公平性が保たれています。だからこそ、この鑑評会に意義があるのです。