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全国納豆ファンの皆様こんにちは!
納豆大好き夫婦のリョウタ&トモコです!
納豆写真家の夫リョウタと食いしん坊のOL妻トモコが日本全国に伝わる美味しい納豆食文化を紹介する『ニッポンおいしい納豆地図』
今回は三重県鈴鹿市の納豆グルメをご紹介!

●海・山・匠の技「鈴鹿市」

鈴鹿市は三重県の中北部に位置する人口20万人の都市。
鈴鹿の名は古くは日本書紀から登場し、奈良時代には東海道、伊勢国の国府が置かれたりと歴史ある街だ。
鈴鹿といえば"世界のHONDA"の鈴鹿サーキットがあるモータースポーツの聖地としての認知度だけが先行している印象だが、江戸時代には伊勢湾岸で最も栄えた港、白子港を有している。
同市のキャッチコピー『さぁ、きっともっと鈴鹿。海あり、山あり、匠の技あり』のキャッチコピーと共に、近年では農産・海産物も注目されている。

今回はそんな鈴鹿市に『ちょっと変わった納豆サンド』があると聞きつけた僕たちは、早速取材を開始した。

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取材日は生憎の天気。小雨のパラつく中、僕たちは白子駅(しろこ)に到着した。
リョウタ「ついたー!」

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駅の階段で早速鈴鹿サーキットのポスターがお出迎えしてくれた。
このポスターを真っ直ぐ見据えながら真剣な顔で妻が言う。 

トモコ「…………よし。納豆サンド食べに行こう!!」

いや何が『…よし』やねん。興味ないの丸出しやん。
花より団子、バイクよりサンド。
食欲モンスターの妻は今日も平常運転だ。

リョウタ「いや、まだお昼前やし、まずは鈴鹿サーキットの調査からや!」
トモコ「えー、、お腹すいたよぅ。あ!赤福だ!」

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トモコ「私赤福大好きなんだー!ちょっと買ってくるね!」

鈴鹿市白子は伊勢参宮街道の宿場町として栄え、昔からお伊勢参りの参拝客が一息つく場所でもあった。
さすが白子、駅ナカのコンビニでも伊勢名物赤福餅が販売されている。

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リョウタ「赤福餅ってさ、今は全国でも流通してるけど、昔は神様に会いに行った人だけがお土産にできる貴重なスイーツやったんやろなぁ」

伊勢参りの帰りに、赤福餅を手土産に白子の宿で海産物を食べてほっと一息。
良いなぁ。良いなぁ。
昔の人々の暮らしに想いを馳せる僕。

トモコ「ごちそうさまでしたっ!!」

…って、もう食べたん!?早っ!!

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トモコ「で、デザートはこれね!」

妻が手にしてるのは鈴鹿の名物『ライダーもなか』。
いや和菓子の後のデザートに和菓子ってなんやねん。なんで赤福餅が主食の扱いやねん。

リョウタ「てか、そういうのは取材の後に食べるもんちゃうの!?土産物を先に食べるなよ!」
トモコ「順番なんてどっちでもいいでしょ。わ!いつ食べても美味しい!!」

口の周りが餡子まみれになっている妻を引き連れ、僕たち二人はタクシーで鈴鹿サーキットへ向かった。

●大迫力!『鈴鹿サーキット』

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ブン!ブーン!!ブァーーーーン!!!!
ブォーン!!!!

トモコ「凄い!まだゲートの外なのに、大きなエンジン音が聞こえる!」

鈴鹿サーキットは1962年に、海外の二輪レースでの勝利とモビリティスポーツの普及を目的として、HONDAの創始者である本田宗一郎によって建設された。
現在ではサーキット、遊園地、ホテル、レストラン、プール、モータースポーツのスクール等が併設し、大人から子供まで家族で楽しめるモビリティのテーマパークとして人気を博している。

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広い敷地内には観覧車や、実寸大のレーシング二輪のモニュメントがあったりで、散策するだけでも充分楽しめる。
トモコ「あーこれは食べられないやつね」
いや食べ物かどうかいちいち判別すな。

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ブーン!!!ブン!!ブォーーーーン!!!!!

リョウタ「うわぁ!テスト走行してるのが見れるんや!」
豪快な水飛沫を上げながら目の前を轟音で通り過ぎていくレーシングカー。
カッコいいその姿を写真に収めたくて、何度も何度も夢中でシャッターを切ってしまう。
童心に返ってレーシングカーを追いかける時間が、ただただ楽しい。

リョウタ「鈴鹿サーキットは『大切な米をつくる田んぼをつぶさないように』という本田さんの想いで、わざと開拓に大変な山林を選んだんや」
トモコ「このパーク内に階段が多いと思ったら、この高低差は農業へのリスペクトの現れなのね」

本田宗一郎さんのモータースポーツへの熱い思いは、鈴鹿市の元来の財産を壊すことなく、最高の形『世界のSUZUKA』としてその名を世界に知らしめたのだ。

トモコ「わかった!今日の『ちょっと変わった納豆サンド』って、お米の納豆サンドなんじゃない!?」
リョウタ「いやそれ納豆ただのおにぎりやろ笑」

今や世界に知られるこの街で、一体どんなサンドイッチが待っているのか。
期待に胸を膨らませて目的のお店に向かった。

●リピーター増殖中「サンドイッチ専門店」

そんな話をしながら目的のお店に到着した。
リョウタ「ついた!」
トモコ「晴れてきた!なんだか私たちを歓迎してるみたいね!」

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『鞍馬サンド』は創業25年のサンドイッチ専門。作りたてのサンドイッチが併設されたカフェですぐに楽しめる。すべてがオリジナルのサンドイッチのメニュー数はなんと50種類以上! その独創的な味を求めて、地元の方はもちろん県外からのお客様も絶えない鈴鹿の名店だ。

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店内は木の温かみを生かした内装で、各席が広々とした設計。リラックスしてサンドイッチを楽しめる空間になっている。

トモコ「うわー素敵な内装!映えよ!映え!」
リョウタ「2階席まで吹き抜けやからすごい解放感あるな!自然光も沢山入るようになってる!」
素敵すぎる店内に興奮してシャッターを切りまくる僕。

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リョウタ「えー!これ全部サンドイッチ!?」

目の前の大きなショーケースには、とんでもない数のオリジナルサンドイッチが並んでいる。彩り豊かなサンドイッチ達を見ているだけでワクワクしてくる。
『源氏』『六条』『東山』『義経』どれも変わった名前がつけられている。

トモコ「まずは『鞍馬サンド』と『苺のフルーツサンド』でしょ。あとは〜…」

まてまて普通に注文し出すな。僕らは納豆サンドを調べにきてるんや。

トモコ「えー!!全部いいんですか!!?」

誰も何も言うてない!てかこんな量食べれるわけないやろ。
お目当ての『ちょっと変わった納豆サンド』を探して、カラフルなショーケースの中から『納豆』の文字を探す僕たち。

トモコ「もしかして、これ、、かな?」

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妻が指差したのは『醍醐』というサンドイッチ。下に小さく『納豆コーヒーゼリー』と書かれている。

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リョウタ&トモコ「えーー!!!納豆コーヒーゼリー!!!?」

まさかの甘味と納豆のコラボ。
想像していなかった意外な組み合わせに動揺する僕たち。

トモコ「てか『醍醐』ってどういう意味?」

僕たちは謎だらけのサンドイッチの取材を開始した。

●話題の新感覚スイーツ『納豆コーヒーゼリーサンド』

特別に厨房で作り方を見せていただいた。

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耳を落とした食パンに大量の生クリームを乗せて、伸ばして、、、
タレ無しの"プレーン納豆"を並べる!!!
自家製コーヒーゼリーをたっぷり乗せて、包丁を入れたら、、、

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完成!!!

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リョウタ&トモコ「い、い、いただきまーす。」

納豆に生クリームにコーヒーゼリー。もはや悪ふざけとしか思えない。
恐る恐る一口食べてみると、、、

リョウタ&トモコ「う、う、美味いーー!!!」

口に入れた瞬間、フワッフワもちもちのパン生地の生クリームの程よい甘さが口の中に広がる。
心配していた納豆の匂いは全くない。噛んでいくと優しい甘さの中にコーヒーの爽やかな苦味が顔を出してきて、飽きのこない上品な味に仕上がっている。
少し和菓子っぽくもあるし、ドルチェのような洋風にも感じる不思議な印象だ。

リョウタ「これは絶妙なバランスやなぁ。凄いわ」

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食パンの塩味が生クリームの甘みを引き立たせていて、荒く崩した粒々のコーヒーゼリーの食感も楽しくて、食べる手が止まらない。

リョウタ「いくらでも食べられるわ。まるで高級スイーツみたいやなこれ」
トモコ「ねぇこれってキャラメルとか入ってたっけ?」
リョウタ「え?入ってないはずやで」

しかし言われてみると確かに、後味に『塩キャラメル』のような仄かなコクがある、、、

そうか!これが納豆だ!
納豆の持つ発酵食品独特のコクとその粘り気が生クリームにもったりとした濃厚さをプラスしていたのだ。
僕たちがキャラメルのように感じたのはまさに納豆の効果だった。
コーヒーの香りが納豆の匂いをうまく抑えていて、納豆が苦手な人も言わなければ全く気づかないだろう。

トモコ「まさか納豆が隠し味だなんて!パティシエもびっくりだろうね!」

納豆のもつ『発酵パワー』にまたしても驚かされてしまった。

●看板メニュー『鞍馬サンド』

トモコ「甘いのも食べたし、デザートに『鞍馬サンド』頂こうかしら!」
いや逆や!
相変わらず妻の中でのデザートと主食の振り分けがよくわからない。きっと食べる理由になればなんでもいいんだろう。

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しかもセットで食べるんかい。
確かにボリュームあってお得やけど!

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鞍馬サンドの具材は肉厚チキン・しめじ・チーズ・大葉・海苔。
これも食べたことない組み合わせだ。
トモコ「美味しい!鶏肉が柔らかくてジューシーね!」
豪快にかぶりつくと、照り焼きチキンの甘辛さと醤油風味のしめじの爽やかな酸味が口いっぱいに広がる。
食べ応え抜群なのに、海苔と大葉が効いていて後味はとても爽やかだ。
リョウタ「これも珍しい組み合わせやのにほんま美味いなぁ」
さすが看板メニュー。完成度高すぎる和風サンドイッチに感動してしまった。

●納豆コーヒーゼリーサンド誕生秘話

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店長の田中裕介さんにお話を伺った。
リョウタ「納豆コーヒーゼリーサンドはどうやって生まれたんですか?」
田中さん「前の社長が新メニューを考えていたときに、たまたま冷蔵庫から納豆とコーヒーゼリーが転がり落ちてきて思いついたらしいです笑」
発売当初は全然売れずに苦労したんだそう。現在の社長が「せっかく一度世に出たのならなんとか存続させよう」と、四年もかけて試行錯誤し今のレシピに辿り着いた。
店主は「もの珍しさもあってか、よく売れますね」と謙遜するが、今や店の人気メニューの一つになっている。
リョウタ「ここのサンドイッチの名称がみんな漢字ですよね。これはどこからきてるんですか?」
田中さん「多くは京都にちなんだ名称がつけられてます。店名の『鞍馬サンド』も京都の鞍馬山からきてるんですよ」
創業者である前社長が、京都の鞍馬山にあった登山者向けにサンドイッチを提供していた店に感銘を受けてつけられたのだそう。
この独特なネーミングもまたこのお店の魅力の一つと言えるだろう。
リョウタ「ところで納豆コーヒーゼリーサンドの『醍醐』ってどういう意味なんですか?」
田中さん「いやー忘れちゃったな。適当につけたってことはないか!笑」
悪戯っぽく笑いながら濁されてしまった。
最後に全国の納豆ファンに一言頂いた。
田中さん「皆さま、鈴鹿に来た際は是非当店のサンドイッチを持って、鈴鹿サーキットで楽しんでくださいね」

『世界のSUZUKA』にあるお洒落な人気店で出会った『ちょっと変わった納豆サンド』は、世界に紹介したくなる程本格的な納豆スイーツだった。

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リョウタ「『醍醐』の意味調べたよ」
トモコ「え!なんだった?」
リョウタ「仏教の五味のひとつで、乳を発酵させて熟成していった先の5番目にあたるものみたい。乳があって、チーズがあって、バターがあって、その最上級みたいな。まあ簡単にいうと『最も美味しい味』って意味らしいわ」
トモコ「納豆と生クリームで発酵の最上級の『醍醐』?」
リョウタ「絶対適当ちゃうよな笑」



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豆写真家夫婦
納豆写真家 リョウタ 

バター風味の納豆オムレツに出会って以来、 納豆の魅力に取り憑かれ新しい納豆料理を探す日々。 納豆への愛が日々強まり続けた結果、 日本独自の食文化である納豆が全国各地の特色と 混ざり合うことで、どのような形になっているのか を後世に伝える「納豆写真家」!? ライフワークは終わりなき納豆の可能性の探求。 まさに、「ねば〜エンディングストーリー」!

妻 トモコ

東京出身で一見どこにでもいるような普通のOL。 しかしその実態は、納豆のみならず食べることに 命をかけている納豆美人!美味いものがあると聞 くと、九州だろうが東北だろうが新幹線に飛び乗っ て、日本各地どこへでも旅立つ。 名言のひとつに「美味しいものを食べ尽くすには、 日本の有給は少なすぎる」がある。 『納豆女子コンテスト』で最終選考まで残った? という経歴の持ち主。リョウタの自慢の妻である。