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  3. 山梨県富士吉田市「やめられない止まらない!納豆揚げ」

全国納豆ファンの皆様こんにちは!
納豆大好き夫婦のリョウタ & トモコです!
納豆写真家の夫リョウタと食いしん坊の OL 妻トモコが日本全国に伝わる美味しい納豆食文化を紹介する『ニッポンおいしい納豆地図』
今回は山梨県富士吉田市の納豆グルメをご紹介!

●富士山に限りなく近い町「富士吉田」

富士吉田市は、富士山の北側、富士五湖の中東部に位置する。富士登山の起点である富士山五合目があり、通年観光客が途絶えない土地だ。中でも新倉山浅間公園は、五重塔越しに富士山が見える大人気ビュースポットだ。春市街の南西端には、絶叫マシーンで有名なレジャー施設「富士急ハイランド」がある。
食で言えば、日本一硬い「吉田うどん」も有名だ。日本一の富士山の麓でレジャーとグルメが楽しめる町それが富士吉田市なのだ。

そんな富士吉田市に『何個でも食べれてしまう納豆料理』を出すお店があると聞きつけた僕たちは、早速取材を開始した。

●ドでかい富士山

リョウタ「着いたー!!」

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富士急ハイランド駅の改札をくぐると、いきなり目の前には巨大なジェットコースターが僕たちを出迎えてくれた。

トモコ「わー!すごい!ねえねえ富士急ハイランド寄ってから行こうよ!」

妻の提案もむなしく、この日は休館日だった。
絶叫系の乗り物が苦手な僕は安心した。

トモコ「きゃーーーー!」

駅から出ると妻の叫び声が………!

リョウタ「どうした?」
トモコ「富士山が大きい!」
リョウタ「驚かさないで!」
でも確かに大迫力、目の前にすると大きすぎて距離感が掴めない。

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●五重塔越しの富士山『新倉山浅間公園』

取材までまだ時間があるため、僕たちは絶景が楽しめる人気スポットだという新倉山浅間公園へ移動した。
雄大な「富士山」と五重塔「忠霊塔」が一目に見ることができ海外からも大絶賛のスポットらしく、境内の入口から多くの外国人観光客で賑わっている。

公園内には約650本の桜が植えられ、春にはさくらまつりが催されたくさんの花見客で賑わうらしい。
リョウタ「春には桜も見ながら展望台まで歩けるんやな」
トモコ「ハイキング気分で楽しめるってことね」

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意気揚々と展望台に向けて石段を登り始めた僕達だったが、数分後、、、

トモコ「ハアハア…ちょ、ちょっと………こ、これどこまで続くの?」
手すりにしがみつきながら、息を切らして質問する妻。
リョウタ「398段あるんだって………

トモコ「えー!無理無理!!もう下に降りる!!!いや、降りるのも辛いじゃん!!やだー!!!」
パニックになる妻をなんとか励ましながら登り切り、忠霊塔にたどり着いた。

トモコ「やっと着いたー!立派な五重塔ね」
リョウタ「ここから少し上がれば夢の競演が見れるらしいで」

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目の前の最高の景色に息を呑む僕。雄大で、なんと神々しいことか。
この土地の人たちは、この霊峰富士に守られながら暮らしを営んできたのか。

リョウタ「文句言ってたけど登った甲斐があったやろ?」
トモコ「………

リョウタ「どうした?」
トモコ「お腹減ったーーーーーー!!!」

妻の声がこだまする。


リョウタ「たくさん歩いたからな。よし、目的のお店に向かおう」
トモコ「今日の目的は、何個でも食べられる納豆料理だよね?」
リョウタ「そうやで」
トモコ「今の私なら、398個食べられるわ!!」
リョウタ「階段の数食べるんかい!!」

●縄文時代の大豆

無事下山し、僕たちは目的のお店を目指し歩き出した。

トモコ「ほうとうと、うどんのお店が多いね」
リョウタ「この辺は、農業に不向きな土地柄であることから、古くは雑穀栽培のほか富士裾野傾斜地に流れる流水を利用した水掛麦と呼ばれる独特の麦作をして、ほうとうをはじめ粉食料理が日常食やったんや」
トモコ「穀物栽培もしてたとなると、大豆もよく食べてたかもね」
リョウタ「うん。実は、日本で一番古くに大豆があった場所かもしれないって言われてるんや」
トモコ「え?どういうこと?」
リョウタ「実は山梨県にある縄文時代前期の遺跡から、大豆の栽培の痕跡のある土器が、出土されたんやて」
納豆の発祥はもっともっと後だとされているが、もしかしたら納豆に近いものも食べられてたかもしれない。
縄文時代からいやそのもっと前から、変わらず富士山はここにあって、縄文時代からずっと人々の生活を支えている。なんだか不思議な気持ちになる。

トモコ「うーん………

リョウタ「どうした?」
トモコ「お腹が減りすぎて話が入ってこない………もう、うどんでいいかも」
リョウタ「ダメダメ! もぅすこしで着くから我慢して!」

●母から受け継ぐ味『うどんほうとう天野』

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車の往来する大通り沿いに目的の店はあった。

リョウタ「あの店だ!」
トモコ「いただきまーす!」
リョウタ「はやい! はやい! まだ入店してへんから!」

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『うどんほうとう天野』は、その名の通り富士吉田の名物ほうとうが人気の名店。2021年6月30日にオープンした比較的若いお店だが、元々は今の店主の母が富士吉田市内で長年営んでいた居酒屋の名前を受け継いだそうだ。
現在も、引き継いだ居酒屋メニューも充実しており、夜はお酒を楽しむお客様で賑わう。地元民、観光客に愛されている歴史あるお店だ。

席に案内され、すぐにメニューを開く。

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納豆の文字を探す………

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『納豆揚げ』!!!!!

リョウタ「そうきたか!!」

さっそく注文することに。

リョウタ「注文いいですか? 納豆揚げ………

トモコ「と、ほうとうください!大盛りで!」

スラムダンクのゴリのスクリーンアウトのようなカットインを仕掛けてくる妻。

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トモコ「野菜ほうとうで!大盛りで!」

鬼気迫る注文だった……。

●食べる絹『シルク麺』

鬼気迫る感じを察知してくれたのか、注文して直ぐにほうとうがでてきた。

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トモコ「うわー! 具だくさん!!」
リョウタ「これは、温まりそうだ!」
トモコ「!!! 麺がつるつる!!」
店主こだわりのシルク麺を使用しているらしい。シルク麺?

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富士山の天然水とシルクパウダー(食べる絹)が練り込まれた麺はつるつるのもちもち。美容や健康にも良いんだそう。
具材も何種類もの野菜が入ってた。

トモコ「大きな大根が入ってる!」

野菜は出汁でじっくり煮込んであり、優しい味が浸み込んでいた。

●何個でも食べれてしまう『納豆揚げ』

妻がほうとうを食べている間に、キッチンで作り方を見せてもらった。

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納豆をボールに入れ、そこに大葉・カイワレ・長ネギ、そこにかつおだしを少々。 片栗粉を入れ、しっかりかき混ぜる。

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海苔の上に並べて…油に投入!!
カリっと揚がったら出来上がり!!

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トモコ「ちっちゃくてかわいいー!」
リョウタ「海苔の良い香りがたまらないね!」

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リョウタ& トモコ「いただきまーす!」

う、う、美味い〜!!!!!!
海苔がサクサク! 中がモチモチ!!

モチモチ食感を楽しみながら噛むたびに、口の中で大豆の風味が広がる。
トモコ「かいわれとネギの香りもアクセントになってるわね」
大葉のさっぱり感が油っぽさを消して、揚げ物なのに全くしつこくない。

気が付くと、もう次に箸をつけている……。
と、止まらない!!!
個でも食べれるというのはこういうことだったのか!


トモコ「てかなにこれほんとモッチモチ!これおもち入ってないよね?」
確かに磯部餅のような、食べやすく子供からお年寄りまで食べられる好きな味だ。
加熱した納豆は苦味が出やすいが、海苔の香ばしさとふんわり食感で、全く気にならない。むしろ甘みを感じるほどだ。

添えられた練りからしをつけてみる。
鼻に抜ける辛味が爽快で、次から次に口に入れたくなる。

あっという間に食べ切ってしまった。
トモコ「納豆揚げおかわりくださーい!」
ほうとうを食べた後にも関わらず、妻の箸は止まらなかった。

●変わらぬ母の味

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店主の天野洋見さんにお話を伺った。
リョウタ「納豆揚げはどうやって生まれたのですか?」
店主「40年くらい前から、お袋が居酒屋やってた時からあったメニューなんだよ。その頃は、お袋のお店に来る人はみんな頼むくらい定番商品だったよ」
リョウタ「それを、このお店で復活させたわけですか」
店主「そうだね。ほうとう、馬刺し、鶏もつ、納豆揚げ、そういう定番商品はこっちでもやろうってことになってね」
リョウタ「味を受け継いでいるんですね」
店主「そうだね。お店が無くなってから残念がる人も多くてね。今はあの頃のお客さんも来てくれるんだよね」

受け継いだ味を残すというのは素敵なことだ。縄文時代の土器から、なにか一つでも欠けていたら、この料理とは出会えなかったのかもしれない。
富士吉田の『何個でも食べられる納豆料理』は、ずっと変わらずそこにある富士山同様、変わらず地元民を見守ってきた納豆料理だった。


トモコ「お代わりお願いしまーす!」
リョウタ「え!また?この納豆揚げ何皿目?」
トモコ「8皿目かな」
リョウタ「太らないように、食べ終わったらもう一度、新倉山浅間公園の階段上らないとね………



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豆写真家夫婦
納豆写真家 リョウタ 

バター風味の納豆オムレツに出会って以来、 納豆の魅力に取り憑かれ新しい納豆料理を探す日々。 納豆への愛が日々強まり続けた結果、 日本独自の食文化である納豆が全国各地の特色と 混ざり合うことで、どのような形になっているのか を後世に伝える「納豆写真家」!? ライフワークは終わりなき納豆の可能性の探求。 まさに、「ねば〜エンディングストーリー」!

妻 トモコ

東京出身で一見どこにでもいるような普通のOL。 しかしその実態は、納豆のみならず食べることに 命をかけている納豆美人!美味いものがあると聞 くと、九州だろうが東北だろうが新幹線に飛び乗っ て、日本各地どこへでも旅立つ。 名言のひとつに「美味しいものを食べ尽くすには、 日本の有給は少なすぎる」がある。 『納豆女子コンテスト』で最終選考まで残った? という経歴の持ち主。リョウタの自慢の妻である。