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生活習慣病を防ぐ

納豆には血糖値を下げる作用がある

 納豆の主原料である大豆。この大豆タンパクは、肉類のタンパク質と比較しても数々の優れた特徴を持っています。その一つが、糖尿病などの疾病に関わる「血糖値」(血液中の糖分量)を下げる効果があることです。

 糖尿病は、代表的な成人病の一つです。発症がゆるやかで、ノドの渇きや多飲、多尿などの自覚症状が出るのは、血糖値が相当高くなってから。放っておけば、失明、尿毒症、心臓疾患、脳卒中などを招きかねない恐ろしい病気です。

 糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが悪くなったり、分泌量が低下して起こります。通常、身体のエネルギー源となる炭水化物を食べると、胃や腸で分解されてブドウ糖になり、肝臓から血液中へと送られます。細胞は、このブドウ糖を取り込む際に、インスリンの働きを必要とします。もしインスリンが有効に働かなければ、血液中や尿の中にブドウ糖があふれ出すことになるわけです。

 大豆タンパクに含まれる「水溶性ペプチド」には、血液中の糖の吸収を促す作用があるのです。インスリンは、細胞のレセプターと結合して、ブドウ糖を体内へ送り込みます。水溶性ペプチドはレセプターを活性化するだけではなく、レセプターの数を増やす効果もあると考えられています。こうしてブドウ糖が吸収されれば、血糖値も下がります。

 さらに、大豆タンパクに含まれる水溶性ペプチドは、「グルカゴン」というホルモンにも働きかけます。グルカゴンは、血液中の糖分濃度が必要上に低下した時に、濃度を上げるために分泌されます。つまり大豆タンパクは、単に血糖値を下げるだけではなく、下がりすぎないようにホルモンのバランスを整える効果もあるのです。

 糖尿病にかかる人は、食生活が欧米型に偏ることで急増したといわれており、カロリーオーバーや肥満が発病の引き金になります。このような人は糖だけではなく、血液中の脂質の濃度も高い傾向にあります。大豆タンパク中の水に溶けないペプチドには、脂質の濃度を下げる働きもあり、大豆を主原料とする納豆は、糖尿病体質の改善にうってつけの食べ物であるといえます。