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不老長寿も夢じゃない

納豆は副作用のない天然の抗生物質

 納豆には、ほかの菌を殺す優れた抗菌作用、抗ウイルス作用があることが古くから知られていました。昭和11年9月1日付けの読売新聞には、「安くて旨くて栄養に富む納豆がチフス菌を撲滅」という見出しで、医学博士・松村勉氏(京都帝大細菌学教室)の発表が載せられています。  それによると、腸チフスの保菌者にしたウサギに納豆菌を食べさせたところ、数日後には腸チフス菌がすっかり消えていたということでした。

 また、下痢をした時には、ビオフェルミンなどの乳酸菌を飲み腐敗菌を退治して治療しますが、替わりに納豆菌を飲ませるとわずかな時間で腐敗菌が減少し、しかもその整調作用が乳酸菌より長続きするという結果も出ています。
 納豆1グラム中には、およそ10億個といわれる納豆菌が存在し、その納豆菌が生産するさまざまな酵素も含まれています。
 私たちが普段通りの分量の納豆を食べた場合、お腹の中には1パックあたり100万個程度の納豆菌が生息するものと考えられています。
 この納豆菌の猛烈な繁殖力が、他の病原菌を駆逐してしまうのです。納豆菌には、ジピコリン酸などの抗菌物質が含まれ、腸内病原菌の発育を抑制する作用があります。
 ブドウ球菌、赤痢菌、チフス菌などのほか、最近では、病原性大腸菌O-157に対しても強い抑制効果があることが判明しています。

 カビや細菌から作られる抗生物質は、他の微生物の繁殖や存在を抑える物質として、近代医学の治療の中心的役割を果たしてきました。しかし、抗生物質はある菌に対しては有効でも、他の菌には効かないといった効果の特異性があります。

 これに比べて納豆菌の抑制効果は非常に広範囲にわたり、しかも強力かつ副作用の心配がないという特徴を持っています。
 さらに、乳酸菌などの善玉菌には手を出さず、ふだん腸の中にいないような菌に対して作用するわけですから、これほど人間の身体に優しい抗菌物質は見あたらないのではないでしょうか。