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納豆健康学セミナー

東京都文京区 筑波大学文京キャンパスにて
「第14回納豆健康学セミナー」を開催

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2018年3月15日、東京都文京区の筑波大学文京キャンパスにて「第14回納豆健康学セミナー」を開催いたしました。今回は「食、紡ぐもの」をテーマに、筑波大学の石塚修教授に食文化的見地より納豆の講演をしていただいたほか、食育の現場を伝える映画「いただきます〜みそをつくる子どもたち」を上映しました。

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日本の伝統食品である納豆は、健康医学、薬学、人文学、地理学など他分野で研究が続けられており、機能性食品としての科学的な面、納豆と日本人の歴史的な関わり方が次々と解明されてきています。

全国納豆協同組合連合会(以下:納豆連)では、日本の歴史と風土に培われた食品「納豆」の知られざる健康効果や魅力を学術的に解明していくことが、今後の納豆業界と世界の人々の健康に寄与するものと考えております。そこで、納豆とその周辺領域を研究する学問を「納豆健康学」と名付けセミナーを開催、今回で14回目となります。
当日は、たくさんの納豆好きの一般聴講者やマスコミの方に来ていただきました。

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はじめに、納豆連の野呂剛弘会長が「世界的にも納豆の健康効果には非常に注目が集まっており、色々な方が納豆の研究をされています。本セミナーではそうした研究成果の発表をメインに行ってまいりましたが、今回は食育に関する素晴らしい映画を見ていただく機会をつくりました。本日得た情報や知識をどうぞみなさんの周りの方にも伝えていただければ」とあいさつをしました。

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続いて、納豆連の研究PR委員会の相沢勝也委員長が「納豆はビタミンK2やポリアミンなどさまざまな健康機能を有していることが判明しており、私たちPR委員会では納豆の良さをPRする活動をしてまいりました。今回のセミナーでは、講演に加え、映画の上映を行います。上映後には、みなさんから感想を伺えればと思います」とあいさつをしました。

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その後、映画「いただきます〜みそをつくる子どもたち」を上映しました。この映画は、福岡県にある高取保育園の食育に関する取り組みを追ったドキュメンタリーです。高取保育園では、増え続けるアレルギー園児の解決策を食のあり方に探り、みそ汁、納豆、玄米、旬の野菜を中心にした和食の給食を提供しています。自分たちが飲むみそ汁のみそを毎月100キロつくるのは園児たち。日本の良さ、原点に立ち返った子育てや食生活、そして元気いっぱいに裸足で走り回る子どもたちの笑顔に、会場は感動に包まれました。

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上映後の感想交換会では、自身もアトピーで苦しんでいた経験があるという女性から、「食事が大切だと気づいて改善していったら、肌がすごく元気になって変わったという経験があるので、この映画を見て感動して涙が出てきました。小さい頃から食について学ぶのは大切なことだし、この子たちの今後も楽しみだと感じました」との感想がありました。

また、納豆が大好きだという男性からは「納豆について学ぼうとこのセミナーに参加しましたが、映画で小さい子どもたちがみそを作っている様子を見てとても感心し、感動しました」との言葉がありました。

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続いて、筑波大学人文社会系教授の石塚修先生より、「晴(ハレ)の食としての納豆〜都人も納豆を食べていた〜」と題した講演がありました。

石塚先生はまず、「私たちの社会生活は『ハレ』と『ケ』に分けられ、『ハレ』は広く見渡せるとき、よく晴れ渡った場所という意味があり公の政など儀式や祝い事を指し、一方で『ケ』は日常生活を指します。成人式の晴れ着や正月のおせち料理などはハレの存在、ありふれた日常の衣服や食生活が『ケ』の存在です」と説明されました。
では、納豆は現在どちらの存在として認識されているのでしょうか。現在はスーパーなどで購入できる日常的な食品の一つですが、歴史をひもとくと、その在り方はずいぶんと違っていたようです。

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石塚先生は、「ハレの食文化で代表的なおせち料理は、正月元日に宮中で行う『歯固め』という、餅、コイ、アユ、イノシシ、ダイコン、カブ、酒など山海の産物に天皇が箸をつける儀式に由来するとされています。さらにその変形したものに花びら餅があります」と説明されました。この花びら餅と非常に似ているのが、京都市京北町で伝統的に食されている納豆餅だそうで、「花びら餅も納豆餅も、その形がよく似ていることだけでなく、正月に一家の家長がつくる特別な食べ物でした。京北町における納豆餅は正月の行事には欠かせないもので、ハレの日の食べ物としての意味合いが強いことが分かります」と話しました。

また、今回新たに判明したこととして、「一休さんの愛称で有名な僧侶一休宗純の十三回忌の注文書『大徳寺真珠庵文書』の中に、わら納豆4束と(大徳寺)納豆5個という記述があったのです。さらに百年忌の法要には納豆汁が登場しています」と説明し、納豆は「ハレ」の食文化であり、京都の寺院文化ではごちそうとして納豆汁がふるまわれていたことが分かると述べられました。

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最後に、私たちの祖先が手間ひまをかけて納豆を作り続けていた理由ついて、「健康に良いからということに尽きると思います。私たちの祖先が千年以上も食べ続け、身をもって健康に良いということを証明してくれているのが伝統食品なのです。次の世代に伝統食品を伝えていくことは、最低限の使命。どうか納豆を安い食品と思わず、貴重なものとして、一粒一粒噛みしめながら召し上がっていただければ」と締めくくり、講演を終えられました。

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3時間以上にわたって行われた今回の「納豆健康学セミナー」。参加者の皆さんは熱心に耳を傾け、質疑応答でも積極的に質問をしてくださいました。皆さんの納豆への関心の高さに、納豆連として大変嬉しく思います。ご参加いただき誠に有難うございました。

今後も納豆連では「納豆健康学セミナー」を通じて、さまざまな分野の研究者による最新の研究結果から、知られざる納豆の魅力をお伝えし、納豆の普及、正しい機能性の認知拡大に努めてまいります。どうぞご期待ください。